幼いころから祖父母が住む養父市大屋町に来ていた裕介さん。お盆や正月のたびに訪れて、大自然の中で遊ぶのが好きだった。祖父からは「お前があととりや」と言われていたことと、就職活動の際「自分の好きな町に住んでみたい」との思いから、但馬の企業説明会に参加し養父市を拠点にして働くことを選んだ。祖父母の家に孫ターンをして但馬エリアを中心として仕事をしていたが「もっと自然をフルに感じられる仕事をしたい」との思いからレジャースタッフの仕事に就いた。
幼いころから祖父母が住む養父市大屋町に来ていた裕介さん。お盆や正月のたびに訪れて、大自然の中で遊ぶのが好きだった。祖父からは「お前があととりや」と言われていたことと、就職活動の際「自分の好きな町に住んでみたい」との思いから、但馬の企業説明会に参加し養父市を拠点にして働くことを選んだ。祖父母の家に孫ターンをして但馬エリアを中心として仕事をしていたが「もっと自然をフルに感じられる仕事をしたい」との思いからレジャースタッフの仕事に就いた。
夏はキャンプ場、冬はスキー場になる「若杉高原スキー場」での仕事は、田舎ならではのことばかりだった。若手社員も多く、自分たちで新たな企画を考えていくやりがいも感じられる。県内外から訪れるお客さまに、いかに若杉の魅力を伝えるかを考えてトライアンドエラーをくり返した。星や星座の名前を覚えて解説できるように勉強したり、地元出身のスタッフらと情報交換したりするうちに「若杉だけでなく、大屋、養父、但馬全体をレジャーで盛り上げたい」という気持ちが高まった。
家の近所の御井(みい)神社に伝わる「鬼と松明の奇祭・まいそう祭り」に、主役となる鬼役で参加したり、消防団の活動をしたりすることで、地域とのつながりが強くなっていくのを感じた。
誰かに必要とされることで個人と共同体の大切さを実感した裕介さんは「おおやアート村 BIG LABO」のイベントにも積極的に参加し、後に結婚するかおりさんと出会った。
「やぶの空き家活用支援事業」を活用してともに暮らすことにしたふたりは、レトロな雰囲気を生かしたままの改装を望んだ。1階をリフォームするときも、工務店に「古いものが好きなので、できる限り壊さずに古民家を生かした形にしたい」と伝えた。かおりさん自ら仕事終わりに現場に寄り、壁面や天井を塗ることもあった。
片づけとリフォームに4カ月かけた我が家が完成した。かおりさんが彫刻刀で作った表札が仕事帰りのふたりを迎える。
「夏の夜に、ふと見上げた星空がきれいだった」と満足そうに話す裕介さん。思い描いていた田舎暮らしを満喫しながらも、次は2階をリフォームしたり、庭にウッドデッキを作って夜空を眺めたりしたいと夢は膨らむ。
幼いころ「行くところ」だった養父は「帰るところ」になった。自然に囲まれて仕事をし、古民家を再生して住みよい場所を手に入れたふたりは、このやすらぎをもっと多くの人に伝えられたらと語る。
大雪のときに近所の方から「前住んどった人は屋根を補強しとんなったでぇ」と教えていただき助かりました。